糞害という言葉があるように、糞は衛生環境だけでなく特に疾病をもたらすことがあります。
その原因として身近な鳩があげられます。餌やりができるほど友好的で、私達の生活に慣れ親しむ鳩。一緒に過ごす時間は楽しいかもしれませんが、一歩間違えれば病原菌を体内に取り込む可能性があります。
そんな鳩と感染症の関わりを調べました。
肺炎かと思ったら…鳩の糞がもたらす別の病だった!
鳩は“都市型野生動物”と呼ばれます。
人間と同じ生活空間で社会を作る野生動物のことをそのように表し、ネズミやカラスもこの仲間に入ります。
人間社会から餌を摂取し人慣れている固体もおり、群れで暮らしているケースが多いことから、病気が蔓延するとすぐに集団に広まります。
そして生活環境が人間と近いために、人間社会に菌が持ち込まれる危険性をはらんでいます。
鳩が媒介する伝染病クリプトコッカス症
クリプトコッカス症はカビの一種であるクリプトコックス・ネオホルマンスという菌が原因で発症しますが、菌自体は日常生活でありふれた存在だと言えます。
空気や土の中に存在し、ごく普通に生活していれば感染することはありません。
しかし、鳩を媒介するとその危険が高まります。
鳩の糞にはクリプトコッカスが増殖に必要なクレアチニンという物質が豊富に含まれています。さらに菌が増殖する温度も条件が整っており、風で舞い上がった大量の糞便から空気中に拡散。私達の体内に入ってくるのです。
クリプトコッカス症は呼吸とともに取り込まれるため、病巣は主に肺となります。そのため肺クリプトコッカス症と呼ばれることもあります。
発熱、だるさ、胸痛などの症状から、風邪や肺炎だと思い込み医療機関にかかる人も少なくありません。
診察の結果、クリプトコッカス症だと診断を受け、驚く人もいるでしょう。
と言うのも、この病気は健常者にとっては症状が軽く見逃しやすい特徴があります。
中には感染をしても症状が出ず、病気に気づかない人もいるでしょう。本来は健康被害が少ない病気なのです。
しかし、怖いのは、持病で抵抗力が落ちていたり、HIV感染者、臓器移植後の免疫抑制剤を使用している人、高齢者、乳幼児など免疫力の弱い人が患うケースです。
免疫力が落ちているため高確率で感染し、重症化しやすいと言われています。
菌は健常者と同じく、空気中から肺へと侵入します。まれに、そこから神経組織に移動して、中枢神経へダメージを与えるケースがあるのです。
その結果、髄膜炎や脳炎といった病にかかり、最悪の場合亡くなる可能性が出てきます。
そのような結果にならないためにも、体調が万全でないようなら鳩には近づかないよう工夫が必要です。
また、鳩の糞の清掃などはしないように気をつけましょう。
鳩は公園、神社など街中などどこでも見かけることができます。
自宅のベランダに侵入するケースもあるため、心配ならば鳩よけの網を利用するなど対策が必要です。
まとめ
クリプトコッカス症と聞くと、聞きなれない病気のため、おかしな病にかかってしまったと思う人もいるでしょう。
実際は身近な鳩を媒介する病気であり、事前に対処方法を知っていれば予防することが可能です。
クリプトコッカス症の病原菌はもともと私達の身近に存在し、共存しています。
正しい対策を取ることにより、お互い上手く生きていけるよう考えていきましょう。
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