鳩というと皆さんは何を連想しますか?
神社、公園、餌に寄ってくる姿、大量の糞など、様々なイメージがあるでしょう。
鳩と言えば特徴的なのが、その首の動きです。歩くたびにゆらゆら揺れるその姿を不思議に思う人もいるのではないでしょうか。
なぜ鳩は首を振りながら歩くのか。その理由を調べてみました。
諸説ある、鳩の首振りの理由
鳩が首を振る理由はまだ解明されていません。
これまで多くの人がなぜ首が動くのか調べ、色んな説が提唱されてきました。
その中でも興味深いものをいくつか取り上げてみます。
重心を安定させるため
まず、東京大学での研究結果を見ていきます。
鳩の首は歩行の一歩とシンクロしていることから、重心を安定させるためではないかという説が提唱されています。
歩きだす足が地面を離れる時に首を前に出し、両足が地面につくタイミングで首が止まることから考えられました。
立っている時は二本足ですが、歩こうと足を上げる際は一本で全身を支えなければなりません。
そのため、首を固定し片足でも姿勢が崩れないようにしているのです。
人は歩く時に手を振ります。人間が手を動かし重心を保つように、鳩は首を動かし安定を図っているのです。
立体的に捉えるために動いている
また、ものを立体的に捉えるために動いているという案もあります。
鳩は頭の両側に目がついており、広い範囲を見渡すことができます。これは、外敵がどこにいるのかすぐ分かるように、両側についているのではないかと考えられています。
この目は広範囲をカバーする代わりに、遠近感がつかめないという欠点があります。片目でものを見るため、正確な距離を把握できないのです。鳩は首を振ることで、その欠点を補おうとしているのです。
前と後ろにそれぞれ首を倒した時の映像を、左目の映像と右目の映像だと思えば、擬似的な立体視が可能です。
人間は黒目を自由に動かせますが、鳩はほぼ黒目のみで動かすことができません。そのため首を振ることで視野を保っているのかもしれません。
眼球が自由に動かないから
鳩にまつわるおもしろい実験の話もあります。
1975年、イギリスのフリードマンは鳩の首振りに興味を持ち、実験装置を作りました。
鳩は景色が動けば首を振るのか、それとも足が動くと勝手に首が揺れるのか調べることにしたのです。
ランニングマシーンンの上に箱を設置し、その中に鳩を入れます。鳩の見る目からは景色は動きませんが、歩くことはできます。この状況で、鳩は首を振らずに歩いたのです。逆に鳩を固定して周りの景色を動かすと、歩いていないのに鳩は首を振ったのです。
鳩は前方に進むと、流れる景色を見ているようになります。
周りが動けば目で追いたいところですが、眼球が自由に動かないため首を振ってしまうのではないか。フリードマンは鳩が首を振る理由を、このように考えたのです。
様々な研究が行われ、鳩が首を振る理由を解明しようと長年取り組みが行われてきました。
鳥の中には首を振らない種類もあり、その差はどこで生まれるのか、なぞは残されたままになっています。
空を飛び餌を探すのか、歩きながら捕食するかの差だとも言われていますが、はっきりとした理由はまだ分かっていません。
鳩が首を振りなが歩く不思議。
あなたならどんな理由があると考えますか?
まとめ
身近な存在である鳩ですが、現在もその首を振る理由が不明な点が興味深いと言えるでしょう。
私達が当たり前だと思っている日常の動作が、実は理由が分からないというのは驚きです。
鳩の首を振る理由がいつか解明される日がくるのでしょうか。その時を楽しみに待っています。
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